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熱帯雨林の樹木フタバガキ科を10年観察 前年か当年の炭水化物資源を種子に利用 高知大など7機関

高知大学など7機関から成る国際共同チームは、東南アジア熱帯雨林で優占するフタバガキ科の樹木18種について、種子生産に対する貯蔵炭水化物資源の貢献度が低いことを発見した。研究の成果は東南アジア熱帯雨林の適切な管理技術の確立につながる可能性がある。

熱帯雨林の巨大高木は、樹高50~60メートルに成長する。花や種子が生産される巨大高木の樹冠部へのアクセスは困難であり、長期間に渡ってフタバガキ科の巨大高木の資源量を追跡した研究はほとんどない。大量の種子生産に対する炭水化物資源の樹木の投資戦略は未解明のままであった。

研究はマレーシアのランビル国立公園で実施。フタバガキ科樹木18種を1993~2003年まで観察した。

分析の結果、フタバガキ科18種の種子は、成熟前約1年以内の炭水化物資源を用いて形成されていた。種子の生産量の変動が大きいフタバガキ科は、一斉開花の前年か当年の光合成で得られた炭水化物を利用して生産していることが明らかになった。

また、フタバガキ科の直径成長は一斉開花の年に普段に比べて低下することが報告されている。炭水化物資源を成長から繁殖に回していると考えられる。

急激に消失の進んだ東南アジアの熱帯雨林を再生させるために、フタバガキ科の樹種などを用いた植林が積極的に行われている。だが、植林に必要な苗木を計画的に生産する上で、フタバガキ科の不定期な結実が障壁だという。

研究チームは「種子生産に対する窒素やリンなど他の栄養素の貢献度が分かれば、一斉開花の発生時期や種子生産量の予測が可能になり、東南アジア熱帯雨林の適切な保全技術の確立につながる」と説明している。