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奈良のシカはどこからやってきた? DNA検査を実施して遺伝を調査 福島大・山形大・奈良教育大

天然記念物「奈良のシカ」はどこから来たのか―。福島大学と山形大学、奈良教育大学の研究グループは、DNA検査を実施し、奈良公園独自の遺伝を持つシカがほとんである一方で、市外から入り込んだ個体も存在することが分かっている。

研究では2018年に奈良公園と奈良教育大で採取した糞と奈良県から提供された17~19年2月までの筋肉サンプルからDNAを抽出し、ニホンジカの遺伝的特徴や血縁を調べた。

奈良県はシカが捕獲できる「緩衝地区」と「保護地区」、農林業被害防止のために捕獲を行う「管理地区」の3地区が存在する。調査の結果、保護地区内では、奈良公園独自の遺伝的特徴をもつ個体がほとんどを占めた。

一方で、管理地区では奈良市外から移入した複数の系統のシカが存在すること、保護地区に由来すると思われる独自の遺伝的な特徴をもつ個体と混在していることが確認されている。

特に緩衝地区の周辺の地域では、奈良公園独自の遺伝的特徴をもつ個体と奈良市外からやってきたシカと交配しつつあることも明らかになった。

これまでの研究で、奈良公園のシカは1000年以上孤立し、独自の遺伝的特徴を残してきたことが示されている。だが、現在の奈良市内外におけるシカの増加と分布の拡大により、奈良公園のシカ集団の長期間の孤立や遺伝的独自性などが変化しつつある現状が示されている。

研究グループは「連の研究成果は、周辺地域でのシカの増加によって不明瞭になっていた奈良のシカについて、生物学的な再定義を可能にするもの」と説明している。