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ヒト細胞で再生したマウス肺、マウスに移植 血流再開に世界初成功 東北大×トロント大

東北大学とカナダのトロント大学からなる研究チームは、脱細胞化したマウス肺をヒト細胞で再生するプラットフォームを開発した。この分野で最も困難とされる肺毛細血管網再生とマウスへの移植実験に世界で初めて成功したとしている。4日付の科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」で公表されている。

ほ乳動物の肺は巨大で複雑であるものの、基本的な肺の微小構造は酷似している。仮に小型のマウス肺を利用して臓器再生プラットフォームが開発できれば、必要なリソースを10分の1以下にして、この分野の研究を大きく加速させることができるという。

研究グループは、実験動物肺移植の技術を応用し、顕微鏡下手術により極小サイズのマウス肺を還流培養サーキットに接続することに成功した。このマウス肺から細胞を完全に取り除き、そこに血液を固まらせない「ヒト由来血管内皮細胞」を注入して臓器培養を行った。結果、細胞が完全に取り除かれた肺に新たな肺血管網が再生されている。

注入した細胞が肺全体にどのように分布し定着しているかを数学的に解析した。研究では脱細胞化肺に1500万~6000万個のヒト血管内皮細胞を注入。再生された肺構造でマウスと人がどの程度似ているか分析した。この解析では肺に2つの異なる性質の構造があることが分かっている。

細胞数を増やすほど正常肺に近づいたが、3000万個を超えて限界となったという。これは肺を再生するにあたって注入細胞が多ければ良いということでなく、閾値が存在することを示している。

最期に、3000万個のヒト由来血管内皮細胞を入れて、毛細血管まで再生された肺をマウスに移植した。縫った後に血流を再開すると、すみずみまでに血流が行き渡ったことが確認できたという。

研究グループは「今回開発したマウスサイズ臓器エンジニアリングプラットフォームを利用し、このような臨床検体由来細胞の機能検証を行い、移植臓器としての機能を向上させていく」とコメントしている。