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脳のpHと乳酸量の変化が精神・神経疾患モデルで共通すると発見 認知機能障害の脳内メカニズム解明に貢献 藤田医科大等研究G 

藤⽥医科⼤学など8機関からなる研究グループは、脳の水素イオン指数(pH)と乳酸量が多くの精神・神経疾患の動物で共通して変化していることが確認した。これらの変化は特に認知機能障害と関連が深いことを突き止めている。認知機能障害などに対する脳内メカニズムの理解が深まることが期待されている。

統合失調症など精神・神経疾患の患者は、エネルギーを産生する過程に異常があると示唆されている。だが、脳内の変化には疾患そのものの現象なのか、薬の副作用などから生じた事象なのかは分かっていない。これは人の死後標本では確認できないため、研究グループはマウスモデルを使って論争の理解を試みた。

研究グループは109種の動物モデルと計2294匹のマウスとラット、ヒヨコの全脳サンプルを集めてpHと乳酸を測定した。

その結果、統合失調症/発達障害や双極性障害、⾃閉症、うつ病などのモデル動物において、脳のpHと乳酸量の変化に共通の特徴であることを明らかにした。例えば、自閉症モデルではそれぞれの増減が見られている。

研究グループは「得られた知⾒は、認知機能障害を伴う様々な疾患に共通する脳内の特性を理解する新たな⼿がかりとなる可能性を持ち、既存の疾患分類の枠組みを超える影響をもたらすかもしれない」と評価している。