全国農業協同組合連合会(全農)と株式会社きゅうりトマトなすび(CTE)は、AIとデジタルツインを活用した施設園芸向けの新たな生育データ取得技術を共同開発し、全農営農・技術センター施設園芸研究室(神奈川県平塚市)の試験圃場で運用を開始した。
施設園芸では、栽培管理に必要な生育データの多くを人手で調査しており、調査規模や取得できる情報量に限界があった。そのため、圃場全体の生育状況や個体差を十分に把握することが課題となっていた。
全農では、こうした課題の解決に向け、農業分野に特化したAI・デジタルツイン技術を有するCTEと共同で、生育データを効率的かつ高精度に取得できる技術の開発を進めてきた。
「デジタルツイン」とは、現実世界の対象物をデジタル空間上に再現し、可視化・分析する技術。
今回開発した技術では、市販カメラを複数搭載した手押し台車で圃場内を撮影し、その映像データを基に独自開発したAIが植物を解析する。AIは茎葉、花、果実などを識別しながら植物の形状を3次元データとして再現し、圃場全体のデジタルツインを構築する。
構築されたデジタルツインはウェブ上(「ノウノウビジョン(全農ver)(仮称)」)で立体的に閲覧でき、任意の部位の拡大観察や長さ・太さなどの計測が可能。また、花や果実の個数、葉面積など、従来は多大な労力を要したデータも自動で取得できる。これにより、人手による調査では難しかった大規模かつ継続的な生育データ取得が可能となり、個体レベルから群落レベルまでの生育状況を短時間で把握できるようになる。
開発技術については今後、栽培管理の高度化や収量予測、病害虫の早期発見などへの活用も視野に入れ、発展を進めていく方針だ。
また、全農では、CTEとの協業を通じて、生育データ取得の自動化、取得情報量の拡大とデータ活用の高度化を推進し、農業現場における栽培管理の効率化と安定化を実現し、日本農業の持続的な発展と食料の安定供給に貢献していくとしている。
開発技術によって期待される効果
○生育調査作業の省力化
○圃場全体の生育状況の可視化
○栽培管理の高度化・最適化
○生育異常の早期発見
○収量予測精度の向上
○データに基づく栽培技術開発の加速
