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農研機構、バイオものづくりを効率化する機能性シルクを開発 シルク上の狙った位置に酵素を固定し、繰り返し使える新技術(第18967号)

農研機構は、カイコ由来の天然繊維「シルク」に必要な酵素を狙った位置に固定して利用できる「機能性シルク」を開発した。

 現代のバイオ産業では、医薬品や食品、バイオ燃料などの製造において「固定化酵素技術」がすでに広く産業利用され、大量生産(バルク製造)の基盤として定着している。しかし、これら従来の固定化技術は、ビーズなどの担体(支持体)の表面に酵素を結合させるものであり、酵素同士の配置や順番をナノメートル単位で精密に制御することは困難だった。そのため、複数の酵素を高効率に連携させる高度な複合反応設計には、構造的な限界があった。

 農研機構は、この課題を解決するため、酵素を「固定する」だけでなく、「設計通りに配置できる」新しい固定化技術として、シルク上の特定の場所に酵素を選択的に固定できる「機能性シルク(スキャフォルディンシルク)」を開発した。

 この技術は、細菌がセルロース分解の際に用いる「足場構造(スキャフォルド)」に着想を得て、複数の酵素が秩序立って働く仕組みをシルク上に再構成したもの。研究では、複数の細菌由来の足場構造を組み合わせた遺伝子をカイコに導入し、三種類の異なる酵素を選択的に固定できる部位を備えた組換えシルクを作製した。三種類の固定部位のうち一部位にセルロース分解酵素(セルラーゼ)を結合させ、シルク上で実際に反応が進行することを確認した。

 また、足場構造は約60℃まで安定に機能するため、この温度以下であればシルクを一旦軟化させ、繊維状への調整や成形などの加工を行いながら利用できる。さらに、シルクは天然由来で、環境中で分解される特性を持つことから、従来の石油由来材料に代わる新たな選択肢として期待される。

 農研機構では今後、様々な高付加価値物質の生産を想定し、今回開発した技術を活用した連続反応系の構築に関心を持つ研究者や企業との連携を通じて、応用可能性を検討していくとしている。