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サッカーの「良いファーストタッチ」 筑波大教授らが身体とボールの動きを解明(第18965号)

筑波大学体育系の中山雅雄教授ら研究グループは、サッカーで「ファーストタッチ(パスを受けた最初のタッチ)」と呼ばれる技術の仕組みを三次元モーションキャプチャシステムで解析し、走りながらパスを受けてから次のパスへ移る⼀連の動作で、素早いプレーにつながる「良いファーストタッチ」技術の特徴を初めて科学的に示した。

サッカーでは、パスを受けた最初のタッチ(ファーストタッチ)の質が、その後のプレーの成否を大 きく左右する。しかし、「良いファーストタッチ」とは具体的にどのような動きなのかについては、科学的な根拠がほとんどないのが現状。

中山教授らの研究では、大学サッカー選手を対象に、走りながらパスを受け、次のパスへ移る⼀連の動作を三次元モーションキャプチャシステムで解析し、素早く次のパスへ移っている場面に共通する身体とボールの動きの特徴を明らかにした。

その結果、ボールに触れる直前に足を過度に速く振り込まず、体幹を比較的起こした姿勢でボールを受け、トラップ後にボールを前方や上方へ大きく跳ねさせないことが、次のプレーへ素早く移る動きと関係していることが示された。

この研究成果は、これまで経験や感覚に頼ることが多かったファーストタッチ技術に対し、初めて科学的根拠を⽰すもの。育成年代からトップレベルまでのサッカー指導や選手育成、競技力向上に加え、AIやモーションキャプチャを活用したプレー評価技術への応用も期待される。

研究は、日本の大学サッカーで高いレベルにある同じチームの男子選手17人を対象に実施した。全員が右足を得意としており、5メートル走り、経験のあるパサーから送られたボールを決められた場所で右足の内側を使ってトラップし、できるだけ早く10メートル先のパサーへ返す動作を行った。

このとき、選手の体に39個、ボールに13個の小さな反射マーカーを付け、Vicon(バイコン)モーションキャプチャシステム)により、1秒間に500回の速さで動きを記録した。

このうち、データがそろっていた145回の試技について、トラップでボールに触れた瞬間から、次のパスで再びボー ルに触れる瞬間までの時間を調べた。その結果、次のパスまでが速かった上位3分の1の試技では、ボールに触れる前の右足の速さは平均2.60m/sだった。

一方、最も遅かった下位3分の1では平均2.85m/s。これは、選手が走る速さではなく、ボールへ近づく右足だけの速さであり、右足がボールへ速く近づけば、必ず次のパスも速くなる、というわけではなかった。

また、速い試技では、トラップ後にボールが上へ動く速さが平均0.17m/sだったが、遅い試技では平均0.60m/s。ボールが大きく跳ねると、次のパスを出す前にボールの位置を直す必要があり、時間がかかると考えられる。

さらに、次のパスまでが速い試技には共通の特徴がみられ、次のパスを速くするためには、⼀つの動きだけでなく、「ボールへ落ち着いて近づく」「次へ動きやすい姿勢で触れる」「ボールを扱いやすい場所に置く」という⼀連の流れが大切だと考えられる。ただし、この研究で見つかったのは動きと時間の関係のみであり、これらの動きが速いパスの原因であることを直接証明したわけではないともしている。