農研機構と北海道酪農検定検査協会は共同で、乳用牛の分娩(出産)後の乳中に含まれる脂肪酸のうち、ルーメン(第一胃)発酵で新たに合成された短鎖脂肪酸(デノボ脂肪酸)の割合の高低が、その後の受胎の成否に関係することを明らかにした。
乳用牛の1日当たりの乳生産量は、分娩後2ヵ月頃まで急激に増加し、この期間は乳生産量が採食量を上回ることが多く、エネルギー不足に陥りがちである。乳用牛の生涯生産性を高めるため、乳生産中に受胎することが必要だが、分娩後の過度なエネルギー不足は、その後の受胎の成否に悪影響を及ぼす。酪農現場では、エネルギー不足による不受胎が懸念される牛を適切に管理するため、エネルギー不足の状態を簡易に判断できる指標が求められている。
研究グループは、北海道の酪農家から収集された乳用牛群検定記録を用いて、分娩後の乳中脂肪酸組成と受胎の成否との関係について調査を実施。その結果、全脂肪酸に占めるデノボ脂肪酸の割合の高低が、その後の受胎の成否に関係することが明らかになった。
乳用牛群検定に加入している酪農家では、毎月提供される個体ごとのデノボ脂肪酸情報から、エネルギー不足による不受胎が懸念される牛を簡易に抽出することができ、それらの牛を適切に管理することで、受胎率の向上が期待される。また、分娩後のデノボ脂肪酸の割合の高低と受胎の成否には遺伝的な相関も確認できたため、分娩後のデノボ脂肪酸割合を指標とすることで、受胎しやすい牛への遺伝的な改良も期待できる。