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原発事故後の森林で放射性セシウムの安定時期を解明(第18952号)

国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所の研究グループは、福島第一原子力発電所事故後の森林において、放射性セシウム(セシウム137)の動きがいつ安定するのかを、10年間にわたる長期観測データを用いて明らかにした。

 放射能汚染地域で林業の再開時期を検討するためには、将来収穫される木材にどの程度のセシウム137が含まれる可能性があるかを、あらかじめ見通せるようになることが重要。しかし、これまでのモデルによる予測では、森林内でのセシウム137の動きがいつ安定するかを十分に把握できておらず、そのため木材中の濃度についての長期的な予測結果がモデルごとに大きく異なるという課題があった。

 そこで研究グループは、福島県・茨城県内の森林において、2011年から2020年まで10年間にわたり、継続的な調査を実施した。樹種ごとに葉、枝、樹皮、木材(辺材、心材)に含まれるセシウム137の量と分布の変化を詳細に分析した結果、原発事故から約6年後までには、樹木内におけるセシウム137の分布はほぼ変化しなくなり、安定した状態になっていることが分かった。また、土壌から樹木へのセシウム137の移行についても、大きな変化は見られなくなり、概ね同じ程度で移行し続ける状態になっていることが明らかになった。この結果は、森林内でのセシウム137の循環が落ち着いた状態に入ったことを示している。

 今回の研究により、事故から概ね6年が経過した森林では、木材中のセシウム137濃度を長期的に予測しやすくなると考えられる。この成果は、林業の再開や木材利用の判断を科学的に支える重要な基盤となる。今後、さらなる長期観測や多様な森林での調査を通じ、予測精度の向上や、放射性物質の長期的な環境中での動きを評価するモデルの高度化に貢献することが期待される。