提供：吉川晟弘准教授（熊本大学）

熊本大学の吉川晟弘准教授と福山大学、千葉県立中央博物館などの研究チームは２２日、新種のイソギンチャク「ツキソメイソギンチャク」を発見したと発表した。共生することでヤドカリが大きな貝殻を獲得することにつながっていると示唆されている。

ツキソメは三重と静岡県の水深２００～５００ｍの深海で発見された。東海地方などに生息する「アカモントゲオキヤドカリ」のみと共生しており、強い関係にあることが確認されている。

万葉集１２巻に収録される愛の歌「相手への強い気持ち」を強調するために使われた「つきそめ（淡い桃色）」になぞらえて命名された。ツキソメの宿主となるヤドカリは、そうでないヤドカリよりも大きな体を獲得していた。ツキソメがヤドカリのフンを食べている可能性もあるという。

チームは「一目見るだけでは前後左右の方向を特定できないイソギンチャクが、巻貝のような形の構造物を創り出すことは非常に珍しい事例」と指摘。「このような現象が、ヤドカリとの共⽣に伴い、共進化により⽣み出された可能性を提 唱する点で、本研究成果には⼤きな学術的価値がある」と指摘している。