北海道大学
北海道大学の清水孟彦大学院生と先崎理之准教授らのグループは先月、農地で水を張ることによる中継地創出が渡り鳥に与える効果を調べた。水鳥やシギ・チドリ類が、水のある農地を頻繁に利用して個体数を増やすことが分かっている。
北海道の石狩平野(石狩市)では、小麦農家が7月下旬から9月上旬にかけて、水田に水をためている。研究では、それら34枚の湛水(たんすい)農地を対象に調査を実施。1キロ以内の水を張らなかった土地などを対照に分析している。
その結果、31種の水鳥と14種の陸鳥、22種のシギ・チドリ類が記録された。絶滅のおそれがある「タカブシギ」や「ツルシギ」「オオソリハシシギ」などが確認。湛水中の水鳥とシギ・チドリ類の種数・個体数は、湛水後よりも2~3倍、非湛水農地よりも6~11倍高いと分かっている。陸鳥は変化がなかった。
研究グループは「今後は、作物の種類や景観、農法の違いによって湛⽔効果に差が⽣まれるかを調べる必要がある」と紹介。「⽣物多様性創出に貢献している地域や農家には追加のインセンティブを与えるなどの施策を通して、渡り⿃の⽣態に即した持続的な農地湛⽔システムの構築が望まれる」としている。