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紫黒米は宇宙環境で育ちやすい? 白米の約4倍生育、放射線にも強い 岡山大など

岡山大学

岡山大学の杉本学准教授らと福岡工業大学、東京薬科大学の研究グループは、古代米「紫黒米」(しこくまい)は宇宙環境でも長期的に保存できると昨年10月に明らかにした。今後、人類が宇宙で長期間活動する際に必要な食料の自給自足に貢献できるとしている。

宇宙放射線や太陽光はDNAや細胞にダメージを与え、生育阻害をもたらす。これまで、宇宙で育てたイネやインゲン豆、トウモロコシなどは発芽率の低下が報告されており、種子を安定的に保存する方法が求められている。

紫黒米は白米と比べて栄養価が高い。天然色素「アントシアニン」が含まれ、それは目の疲れやストレス緩和などに効果がある。これには紫外線のダメージから守る作用もあるという。研究グループはこの点に着目した。

国際宇宙ステーション(ISS)の船外で440日間に渡って白米と紫黒米を育てた。その結果、放射線と太陽光に当てた白米の生育率は15%、紫黒米は55%だった。また、遮光すると白米70%、紫黒米100%となった。宇宙の過酷な環境で損傷した分子も紫黒米のほうが少なかったという。

杉本准教授は「白米の生育率は50%以下であり宇宙で長期保存するには厳しい結果であったが、研究成果から宇宙でビールやお茶漬けを楽しめる環境作成に一歩近づけた」とコメントしている。