広島大学や豪マードック・チルドレンズ研究所などの国際研究グループの4人は、ES細胞などから作られる脳に似た組織体「ヒト脳オルガノイド」の研究を進める上で細胞提供者から適切に同意を取得する手続きについて3つの提言を行った。
ヒト脳オルガノイドが将来意識を持つのではないかというが指摘ある。その可能性は低いが、オルガノイドを作るための細胞提供者には不安を覚える人もいる。提供者の意に反してオルガノイド研究に利用されることのない枠組みが必要であると研究グループは考えた。
そのため「研究者は脳オルガノイド研究に細胞を利用することを明示した上で同意を取得する」など3案を提唱。その中には研究者による提供者への説明責任だけでなく、オルガノイドが意識を持つ可能性に対する方策を講じる必要性を示している。
研究グループは「ヒト脳オルガノイド研究の推進を支持される方でも不安を抱くことなく研究に協力できるように、適切な同意取得の手続きを整備していく必要がある」と指摘。「ヒト脳オルガノイドに関する社会調査や、当該研究の倫理的課題の多角的検討を通じて、責任のある研究開発に向けた環境整備に貢献していく」としている。