東北大学サイバーサイエンスセンターは、2020年10月に設置、運用しているベクトル型スーパーコンピュータシステム「AOBA」の大幅増強を図り、これまでの性能と比べて14倍以上を達成する『AOBA-1.5』の運用を8月1日に開始する。
『AOBA-1.5』の演算性能は21Pflop/sに達し、ベクトル型スパコンとしては世界一の規模となる。
ベクトル型は国際的に主流であるスカラ型に比べて、より多くのデータをまとめて処理できる特性を持つことから、現行の「AOBA」でも毎年1500名を超える日本中の研究者に利用されているが、今回の増強によって、さらに多くの研究者に対して高性能で使いやすい計算環境を提供することとしている。
また、これまでの地震発生に伴う津波の浸水被害予測における現行スパコンの活用実績を活かして、災害発生時には減災のための社会基盤として機能させることも『AOBA-1.5』の重要な役割として位置付けている。
さらには、令和6年度に稼働開始予定の次世代放射光施設NanoTerasu(ナノテラス)と直結し、大量のデータを解析するための情報基盤としても活用が期待される。 これまでは科学技術分野における数値シミュレーションを主として活用されてきたベクトル型スパコンだが、NanoTerasuと直結することで生じるデータ駆動科学やAIといった新しい応用分野のスパコン需要に対応していくため、利用者やスパコンベンダーと協働して最先端の技術開発を牽引する。