大阪大学は女子中高生向けに大学生活の魅力を伝える広報冊子「will」を発行した。同大の女子学生の〝ホンネ〟と〝ホンキ〟を伝える先輩から女子中高生への『エール本』。学年別の女子学生インタビューをはじめ、理系で学ぶ女子学生の対談や留学体験、卒業生からのメッセージなど、女子中高生の知りたい!をたくさん紹介している。
■発行の背景(なぜ、【女子】だけが冊子に登場するのか?)
経済協力開発機構(OECD)が 2022 年に公表した研究分野別の卒業生データを見ると、STEM分野 の女性の割合は加盟国平均32%のところ、日本は17%と最低の割合で、女性のSTEM人材の育成の遅れが明白となっている。
大阪大でも理工系分野を中心に女子志願者数が30%を割る状況が続いており、状況を打破するためにさまざまな手法で取り組んでいるところ。
阪大の自然科学系分野を主に学ぶ学部のオープンキャンパス等の高校生向けイベントでは例年数多くの女子生徒が参加している。しかし、志願にまで至っていない現状をみると、女子生徒は「自然科学系分野に興味を抱いている」にも関わらず、何らかの障壁により「進路を変更してしまう」ことが男子生徒 より多いのではないか、と考えられると分析。
障壁の一因には、保護者や教諭など周囲のアンコンシャス・ バイアス(無意識の偏見)による影響が根強く残っていることは否めない。 冊子では、自分の意志(will)で進路を選び、学び、未来を描く同大の女子学生・卒業生の活躍をロールモデルとして提示することで、本人や周囲の大人に潜む障壁となっているアンコンシャス・バイアスを払拭し、女子中高生が安心して希望する進路を選択できるように、との思いを込めて制作している。
「will」は、今後阪大が参加する大学説明会会場などで配布するとともに、阪大公式Webでも見ることができる。