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「AIの目」でイネ収穫量の簡単・迅速推定 岡山大准教授らが開発

□発表のポイント■

◎AIを用いた画像解析によって、イネの収穫量を簡便に推定可能に

◎市販のデジカメやスマホでイネを撮影するだけ

◎多収品種の開発や、農家圃場の生育診断が一挙に加速すると期待される

イネは、わが国ではいうまでもなく、世界的にみても人口の約半数が主食としている非常に重要な作物。岡山大学の田中佑准教授らは国際的な研究ネットワークを通じて国内外から大量のイネ画像と収穫量のデータを収集し、AIに学習させることにより、野外で生育するイネの収穫期の画像を撮影するだけで、高い精度で面積あたり収穫量(収量)を推定する技術を開発した。

この技術は幅広い品種や環境条件で適用可能なだけでなく、市販のデジタルカメラやスマートフォンのみで、誰でも簡単にイネ収量の推定を可能とした点に最大の特徴。いわばイネの収穫量を見極める〝AIの目〟を実現したといえる。

この研究成果は、国際誌「Plant Phenomics」にオンライン公開され、7月28日付けで出版予定。

この技術は、これまで時間と労力をかける必要のあったイネの収量調査を大幅に省力化・迅速化することで、育種現場での多収品種の選抜に貢献することが期待される。加えて農家圃場、特に開発途上地域など、これまで調査困難であった地域のイネ生産量の把握、ひいては最適な栽培法選択や政策立案など、多方面にわたって活用されるものとみられる。