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常盤山文庫×慶應義塾 臥遊-時空をかける禅のまなざし 慶應義塾ミュージアム・コモンズが10月から展覧会

慶應義塾ミュージアム・コモンズは、常盤山文庫コレクションと慶應義塾の収蔵品から、禅宗の美術の展覧会「常盤山文庫×慶應義塾 臥遊(がゆう)-時空をかける禅のまなざし」を10月2日から12月1日まで開催する。

鎌倉時代、禅宗とともに日本に入り、禅寺で珍重された中国文化。それらは宗教の枠組みを越えて日本の風土のなかで広がり、室町文化の土壌となった。同展は、時空をこえて広がる禅僧のまなざしを想像しながら、かれらがあこがれた聖人、心に思い描いた山水の世界を、臥遊*の境地でゆったりと楽しむ展覧会。

常盤山文庫(https://tokiwayama.org/)は、1943年に実業家菅原通濟がその母体を築いたコレクションで、その一部は、慶應義塾に寄託されている。常盤山文庫の創立80周年を記念した同展では、寄託品のなかから、室町絵画の名品を中心に紹介する。併せて、慶應義塾の収蔵品から、一休や雪舟の作品を、2021年の寄贈後初めて披露する。

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禅は仏典などに頼らず、坐禅や問答などの実践的な修行を重視する仏教の教派のひとつ。禅僧は、開祖である達磨や、悟りの境地を示す風狂な聖者の姿などを、憧れを持って眺めた。また、日本の禅寺では、舶来の墨蹟や絵画を珍重した。それらは、宗教の枠組みを越えて日本の風土のなかで広がり、室町文化の土壌になる。

禅の美術を代表する水墨画の、墨や淡彩のみを用い、余白を生かした表現は、時に、ともに認められた画賛(詩)とあわせて、時間や空間を越えた景色や世界を生み出した。室中にありながら、描かれた山水の世界に入り込み、自在に想像をめぐらせて時空を越えていく―。同展は、そんな「臥遊」の境地を体験し、楽しむ展覧会。同コモンズでは「禅の美術に触れて親しんでいただく機会となれば幸いです」と来場を呼び掛けている。