東北大学の近藤倫生教授らの共同研究グループの研究課題『アジア太平洋生物多様性への全ゲノムアプローチ』が、笹川平和財団海洋政策研究所の「オーシャンショット」に採択された。

オーシャンショットは、ムーンショット型研究開発制度の海洋版として設立された。新たな海洋の生物種や生態やその機能の発見、海洋での発見を支援する新しいデータや技術の発見のための研究を大規模に支援するプログラムとなっている。

生態系においてどこにどのような生物がどれくらい存在しているのかという課題は、生態系の科学的理解とその持続可能な利用にとって極めて重要だ。生態学においてこの課題は長年議論されており、地球規模での解明はされていない。

その理由は、未報告の海洋生物の存在と高額なコストにあるが、この問題を近年のＤＮＡ解析技術が解析しつつある。しかし、そのための基盤が十分ではない。そのために、プログラムでは海洋全体の生物群を網羅した生物多様性の定量評価と分布推定を目指す。

近藤教授らは「これらが整備されることで、海洋生物のダークマターの存在量が明らかになり、海洋生態系の保全や持続可能な管理のための重要な知見をもたらされると期待できる」と説明している。