東京農工大学の田川義之教授らは、レーザー誘起マイクロジェットの速度に関わる要因を可視化できる「説明可能なAI」により新たに発見した。AIを用いて、人間には捉えられない物理現象を調査するという新しい方法が一般化するかもしれない。
マイクロジェットは注射器や塗装技術などに応用が期待されるが、高速であるがゆえに複雑であり多様な要因が影響する。ジェットの速さが一定でなければ安全な投与や塗布も安定しないため、研究ではAIを用いて速度の要因を調べた。
実験では細管内の液体にレーザーを集光することで、高速のレーザー誘起マイクロジェットを生成した。機器を作動すると細管中に気泡が生成される。グループはこの泡のジェット速度に対する影響に着目。細管内の画像からジェット速度を予測する機械学習モデルを構築した。
結論までの過程が分かる説明可能なAIを用いて、ジェット速度に重要な要因を調査すると、キャビテーションの位置が速さに関わると示された。機器のレーザーを集光した位置が遠いほど、影響が小さいという結果となった。
田川教授らは「解明した知見によりマイクロジェットの速度制御性を高め、無針注射器および高粘度塗料オンデマンド塗装の実現への大きな前進となることが期待できる」と評している。