大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)は、子宮頸がん等の原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染を予防する「HPVワクチン」の接種対象者と家族に、最新情報を理解の上、接種を検討してもらうための動画を制作した。
昨年4月から、約9年ぶりに子宮頸がん等の原因となるHPVへの感染を予防する「HPVワクチン」の接種対象者(小学校6年~高校1年相当の女の子)に対する個別の接種勧奨が再開された。
さらに、接種勧奨が差し控えられていた間に接種機会を逃した人(平成9年度生まれ~18年度生まれの女性)への「キャッチアップ接種」の実施なども、各市町村で進められている。
昨年3月までの約9年間、接種後に生じうる多様な症状等について十分に情報提供できない状況にあったことから、個別の接種勧奨が差し控えられえていた。
しかし、令和3年(2021)11月の専門家の会議で、安全性について特段の懸念が認められないことがあらためて確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたことから、接種勧奨が再開された。
HPVに感染すること自体は特別なことではなく、性交経験がある女性であれば誰でも感染する可能性があるが、子宮頸がん発症にまで至るのは稀。HPVに感染すると、ウイルスが自然に排除されることもありますが、そのままとどまることもある。長い間排除されずに感染したままでいると、前がん病変を経て子宮頸がんが発症すると考えられている。
□効果とリスク:「HPV ワクチン」を接種することで、HPV感染と子宮頸がん発症を予防する効果がある。今年4月から9価ワクチン(予防できるHPVが9種類)が公費で接種が可能となり、子宮頸がんの原因の80~90%を占めるHPVの感染を予防できるようになった。
また、多様な症状が必ずしもHPVワクチン接種者に特有の症状ではなく、非接種者にも認められることが示された。万が一、ワクチン接種後に体調不良が続いた場合は、全国の指定医療機関に受診し、いつでも相談することができる。