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皮膚炎の模様に注目した数理モデル 広島大教授らが開発 効果的な治療法を予測

広島大学の藤本仰一教授らは19日、皮膚表面に現れる炎症模様に注目した数理モデルに基づき、炎症を消失する健康な状態へ導く仕組みを予測したと発表した。このモデルは、皮膚を傷つけることなく紅斑(こうはん)から制御機構を予測できる。炎症性皮膚疾患の予防への応用が期待される。

藤本教授らは11の炎症性皮膚疾患に共通の紅斑パターンがあると確認した。共通する模様の制御機構があるのでないかと考え、数理モデルを構築した。そこには正と負のフィードバック、それら因子が皮膚内部で拡散する効果を導入している。

数理モデルの計算機シミュレーションの結果、健康な皮膚で現れる消失パターンに加えて、11の疾患で報告されている主要な5種類の拡大パターン(円・輪・多環・円弧・らせん)が出現する条件を明らかにすることに成功した。

さらに、炎症の病的な拡大を健康な消失へと導く複数のパラメータを特定。5種類それぞれの拡大パターンごとに有効な治療法を予測するため、それぞれが現れる値の条件を網羅的に探索した。

その結果、消失パターンと比べて、円状のパターンは抑制因子の産生が「少ない場合」、輪状のパターンは促進因子が「多い場合」に現れた。らせん・多環・円弧のパターンは、消失よりも抑制因子が「やや少ない」か、促進因子が「やや多い」場合に出現した。

これらにより、促進因子や抑制因子の産生のバランスに応じて、拡大パターンが消失パターンへと移りかわることが予測された。藤本教授らは「これら一連の発見は、多様な皮膚炎症パターンを消失へと導く仕組みとその治療法の理解を進める」と評している。