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自閉症たんぱく質「CHD8」が不妊症にも関与 金沢大×カリフォルニア大×九大が新発見 治療薬開発に期待 

金沢大学と米カリフォルニア大学、九州大学の共同研究グループは、自閉症スペクトラム症(自閉症)の原因たんぱく質「CHD8」が男性不妊症に関与していることを新たに発見した。自閉症と不妊症という2つの疾患の発症メカニズムの解明につながり、共通の仕組みに基づく新規治療薬開発が期待される。16日付の英国科学誌に掲載された。

自閉症患者の妊娠率が低いという結果が報告されているが、その関連性は不明であった。研究グループはCHD8に着目。研究の結果、CHD8は脳だけでなく、精巣に強く出現していることが分かっている。

研究グループはCHD8欠損マウスを作製。精巣を調べると、小さくなっており精子が形成されていなかった。精巣の働きにCHD8は重要で、その変異による機能異常が自閉症患者の不妊の一因となっていると推測した。

CHD8を欠損させた生殖細胞を確認すると、減数分裂の進行が停止し、細胞死に至ることが観察された。特に分裂初期に起こるDNA二本鎖切断に障害が生じることが判明している。

CHD8が分裂にどのように関与しているかを解析した結果、分裂のために遺伝子の発現量を調整していることが判明した。とりわけ、鎖切断に必要なヒストンメチル化修飾酵素「PMDM9」の発現量への関与を突き止めている。

研究グループは「自閉症や不妊症といった大きな社会問題となっている疾患の発症メカニズムの解明や治療法開発へとつながる」と期待を寄せている。