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新しい生活習慣改善プログラム「Teaching Kitchen」 阪大教授らが実施可能性と有効性を日本初確認 ハーバード大と共同開発で生活習慣病の治療・予防に期待

◇研究成果のポイント◆

◎Teaching Kitchenは、ハーバード大で生まれた実践型のライフスタイル変化による肥満・糖尿病治療プログラム。〝キッチンでの実体験〟を通じて、楽しみながら生活習慣改善に必要な技術を習得するという独自性を持つ

◎研究では日本初の〝Teaching Kitchen〟として、肥満者を対象に1ヵ月間4回のプログラム提供を行った結果、有効性を確認し、体重・血圧・内臓脂肪の有意な減少と食生活改善効果を確認した

◎今後、2型糖尿病患者をはじめとする生活習慣病の治療や、健常者での予防への応用期待

大阪大学大学院医学系研究科の下村伊一郎教授(内分泌・代謝内科学)・馬殿恵寄附講座准教授(内分泌・代謝内科学・ライフスタイル医学寄附講座)らの研究グループは、㈱久原本家グループ本社、㈱キャンサースキャンとの共同研究として日本人の生活習慣に合わせた日本版〝Teaching Kitchen〟プログラムを開発してした。

今回、日本で初めてTeaching Kitchenのパイロット試験を肥満者に対して実施し、実施可能性と体重・血圧・内臓脂肪の減少効果や食習慣の改善効果を確認した。

Teaching Kitchen はハーバード大学 T.H.Chan 公衆衛生大学院で料理栄養講座のディレクターを務めるデビッド・アイゼンバーグ医師が主宰する研究グループが開発した健康的な生活習慣への行動変容プログラム。栄養疫学のエビデンスに基づき、さらに “キッチンでの実体験”を通じて、生活習慣改善に必要な技術を習得するという独自性を持つことで知られている。

◇研究の背景(「肥満の増加」は国内外で深刻な問題)

肥満の増加は日本でも世界でも深刻な問題であり、予防と治療の改革が求められている。肥満治療には食生活をはじめとした生活習慣の改善が必要不可欠だが、現在行われている生活指導はカロリー制限や間食制限など我慢を強いることが多く、治療効果が出ない患者や長続きしない患者が存在する。このため、有効かつ無理なく行うことが可能な、新たな生活習慣改善アプローチの開発が必要となっていた。

◇研究の内容(肥満者対象にパイロット試験)

研究グループは、米国のTeaching Kitchenをベースに、日本の食文化・生活習慣に合わせた日本版Teaching Kitchenプログラムを新たに開発し、日本で初のTeaching Kitchenとして肥満者を対象にパイロット試験を実施した。

プログラムは実際に調理が可能なキッチンで行われ、1回2時間・全4回の対面レッスンで構成。各回に「カロリーダウン」・「減塩」・「低グリセミックインデックス」などのテーマを設定し、テーマに沿ったエビデンスがわかりやすく学べる食事・運動・マインドフルネスに関する講義と、料理講師と 一緒に各回のテーマを無理なく美味しく実践できるレシピの調理体験・試食を行った。

レシピは研究のために独自に作成し、日本で伝統的に使われてきた出汁を活用し、食の満足度を維持しながらも塩分量を減らすなど、日本の食文化・食習慣に合わせて開発。さらにスマートバンドや本プログラム 専用に開発したアプリを併用し、対面プログラムでの体験を日常生活で実践・習慣化するためのサポートを行った。

日本版Teaching Kitchenプログラムの概要