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大阪湾のスナメリ生態調査へ 神戸大助教がクラファン開始―スナメリと人の共存を目指して-

神戸大学大学院海事科学研究科の岩田助教は、クラウドファンディングサービス「READYFOR」で、イルカの一種である「スナメリ」の生態調査のため、『スナメリの未来を救え!大阪湾で生きるスナメリが人と共存するために』を公開した。300万円を目標に、7月3日から8月31日まで支援を募る(プロジェクトURL:https://readyfor.jp/projects/sunameri)。

スナメリは、灰色をした体長1.5㍍ほどの、背びれのない小さなイルカ。人間活動や海の開発による環境破壊によって数が激減したといわれており、絶滅危惧種に指定されているが、実はあまりデータがなく正確な個体数はわかっていない。そんなスナメリだが、大阪湾に生息しているという。

大阪湾を含む瀬戸内海東部は、1970年代の高度経済成長期に環境破壊が進行して、1970年代〜2000年の間にスナメリの生息数が大きく減少したとされている。しかし、スナメリに関する科学的な知見や情報が不足しており、明確な証拠や生態系内でのスナメリの役割もわかっていないのが現状。

そこで岩田助教授は、「多くの人々に広くこの現状と保全に対する理解を深めてもらいながら、共に大阪湾でのスナメリの調査・研究を推進していきたい」との認識の下、今回クラウドファンディングを立ち上げた。

支援をもとに、乗船調査やバイオロギングなどを通して、大阪湾にスナメリがどれくらい生息しているのか、何を食べているのか、どのように行動しているのかを調査。大阪湾や瀬戸内海の恩恵を受けながら暮らしている地域の方々にスナメリについて知ってもらうきっかけにしたいと考えている。多くの人々に広く伝えることで、人間とスナメリが共存できる社会を目指し、スナメリを含む海洋生態系の保全につなげる。