大阪大学やアマゾンウェブサービスなど11法人からなる研究グループは20日、超電導量子コンピュータ国産3号機を開発したと発表した。「量子コンピュータは新素材、新薬の発見など環境負荷の低減に貢献するものであり、それらのユースケース探索を活性化できるものであると期待している」としている。大規模なビットチップ制御は世界で唯一だ。
研究では量子コンピュータを超伝導量子ビットにより構築。クラウド・ネットワーク・サービスに接続して研究者が遠隔地から量子アルゴリズムを実行したり、ソフトウェアを改良したりしてユースケースを探索したりできる環境を提供することを実現した。
3号機は当初、理化学研究所(理研)から提供された16量子ビットのテストチップのみが装着されていたが、11月にチップの追加インストールを実施した。理研で製造された64量子ビットチップを3号機に輸送して装着している。
その後、新たなチップに対する実験を行い理研外でも問題なく稼働できることを実証した。現在は64量子ビットのうち48量子ビット分が接続されている状況だ。
量子ビットを制御するためのマイクロ波信号を送受信する装置は阪大と(株)イーツーリーズ・ジャパンが開発。大規模なビットチップの制御を実現して大量製造や購入が可能な装置は世界で唯一だ。
研究チームの桝本尚之特任研究員は「超電導量子ビットのマイクロ波制御から、ネットワークプログラミングにいたるまで、幅広いレイヤに渡るソフトウェアスタッフが開発を行った。ここまで包括的な知識と技術をもったメンバーによるプロジェクトは極めて稀で困難であった」と振り返り、「量子コンピュータ自身の研究の大きな基盤を築けた」とコメントした。