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JAIST 光触媒を利用した環境水浄化のハイスループット技術を開発 研究開発の飛躍的促進

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の谷池俊明教授らは8日、可視光応答型光触媒を利用した環境水浄化に関するハイスループット実験技術を開発したと発表した。今後はこの技術を改良することで二酸化炭素還元などほかの光触媒反応の研究を可能にしていきたい考えだ。

光触媒は高濃度の汚染物質に対して十分な活性を示すことができず、また研究や応用に関する知見も不足している。特に、公共の水に含まれるさまざまな無機イオンが光触媒反応に影響を与えることが知られており、これらの環境条件を考慮した効果的な触媒の開発が急務となっている。

研究では光触媒反応を132並列で実施可能なハイスループット実験技術を新たに開発。大規模な実験から可視光応答型光触媒を用いた環境水浄化に関する有用な知見を導くことに成功した。

また、公共の水の特定のイオンが触媒の活性を低下させることを明らかにした。さらに、工業廃水において効果的な触媒を開発するため、15種類の貴金属ナノ粒子を光触媒に付着した結果、金(Au)や 白金(Pt)などの高仕事関数と酸化耐性をあわせ持つ金属ナノ粒子が、環境イオンを活性種に変換して活性を示すことを明らかにした。

研究グループは「この研究は、開発されたハイスループット実験技術の有効性を示している」と説明。「今後は、この技術を改良することで、水分解や二酸化炭素還元など他の光触媒反応の研究を可能にする見通し」としている。