麻布大学は東京都檜原村との間で交流・連携に関する協定を締結する。野生動物と共存する地域社会を目指して連携するもので、7月4日に同村役場で協定式を執り行う。
東京都檜原村は、都心からわずか2時間ほどで行ける場所に位置し、面積のおよそ8 割が秩父多摩甲斐国立公園に指定され、都内であることを忘れるほどの豊かな自然が残り四季折々の魅力的な自然風景が楽しめる。
急峻な土地はジャガイモの栽培に適しており、畑一面にジャガイモの花が咲き誇る様は檜原村に短い夏の訪れを告げる風物詩になっている。檜原村の豊かな自然は多くの動植物を育み、希少植物の自生地も多く、大型の野生動物も数多く生息している。
昭和20年には人口も7000人余りを数え、かつては林業や農業が盛んに行われ、山では仕事をする威勢の良い大人衆の声、里では野を駆け回る子どもの姿があり活気溢れる村だったが、時代の流れと共に昭和55年以降は林業・農業から離れる若者が増え人口が減少。里山に聞こえていた子どもたちの声も聞こえなくなり、全国や東京都の平均を大幅に上回るスピードで少子高齢化が進んでいる。
かつては里と山の境界が明確にあり、人間の住むエリアに近づかなかった野生動物が今では里山に侵入し畑の作物を荒らす獣害に悩まされている。さらに、高齢化や担い手不足により農作業の継承が困難になってきていることに加え、ここ数年一層深刻な影響を及ぼしている獣害により不耕作の畑が増加することが懸念されている。
そこで、檜原村では麻布大の学術的支援や学生も地域に加わり、獣害防除の対策や課題抽出等地域住民と共に考え、野生動物と共存する地域社会の実現に繋げることとし、今回協定を締結することとなった。