東海大学情報技術センターは、気象庁気象研究所が中心となって推進する、線状降水帯の予測精度向上を目指した技術開発・研究の枠組みにこのほど参画し、線状降水帯のメカニズム解明と災害リスク分析に向けたデータ取得のための高密度集中観測等を開始した。
気象庁は昨年6月、線状降水帯予測精度向上に向けた技術開発・研究のため、全国の大学や研究機関と連携したメカニズム解明に向けての高密度集中観測や、スーパーコンピュータ「富岳」を活用したリアルタイムシミュレーション実験を始めた。
今年度は、大学等との連携をさらに深め、集中観測等によって線状降水帯の発生・停滞・維持等の機構解明を加速するとともに、それらの観測データや知見を用いて数値予報の精度向上につなげる研究を実施することとしている。
これに伴い、高度なリモートセンシング技術と知見を有する東海大情報技術センターは今年5月、気象庁気象研究所の「線状降水帯の機構解明及び予測技術向上に資する研究の推進に関する協定」に参加。さらに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を交えた三者間で共同研究契約「全球降水観測計画(GPM)等の衛星データと地上観測測器による線状降水帯の機構解明に関する研究」を締結した。
こうした契約に基づき、東海大では5月に同大熊本キャンパスの校舎屋上へのJAXAの観測機材「マイクロレインレーダ」と「ディスドロメータ」の設置を受け入れ、線状降水帯を構成する積乱雲群等の内部構造に着目した観測を共同で実施している。
また、GPM衛星をはじめとする衛星データ、地上観測データ、気象庁の各種データ、地理情報システム(GIS)データなどを利用。気象庁気象研究所やプロジェクトに参画する大学等と共有したデータを用いて、豪雨災害発災前後の危機管理主体の対応支援に役立てるべく、各種探査とリスク分析を開始する。