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芝浦工大で大学発ベンチャー認定を開始 デジタルツインを生成しマイクロモビリティの自動運転実現を目指す

芝浦工業大学は今年4月から、大学の研究成果と人的資源を活用して設立された企業を「芝浦工業大学発ベンチャー」として認定するベンチャー創出支援制度を導入している。既存の支援制度を発展させたもの。同制度の第一号として㈱ハイパーデジタルツイン(東京都中央区/伊東敏夫CEO)を認定した。

認定によって大学保有特許の実施権を得られるとともに、豊洲キャンパスに開設したベイエリア・オープンイノベーションセンター(BOiCE)への入居など、大学からの各種支援により、設立の初期費用を抑えることができる。また、大学発として社会的信用を得られ、円滑に事業が展開されることが期待される。

□芝浦工業大学発ベンチャー認定とは

大学発ベンチャー創出における課題として、事業化に伴う資金や人材の調達が挙げられる。一般的に、研究開発・製品化に比較してより多くの資金が事業化に必要とされる。このため、売り上げが上がらないうちは企業認知度が上がらず、優秀な人材が採用できずに業務改善ができないまま資金不足に陥る。同制度では、こういった課題を解決し、新たなベンチャー創出を促す。

□株式会社ハイパーデジタルツインとは

㈱ハイパーデジタルツインは、新熊亮一教授(芝浦工業大情報工学科)が昨年5月に創業した、スタートアップ企業。空間をセンシングし、デジタルツインでデータ分析とモビリティの自動運転に必要なデータをリアルタイムに提供する独自の技術を用いて、電動スクーターや運搬ロボットを含むマイクロモビリティの自動運転を実現する。また、将来的には、空間のセンシングデータを活用したデータ提供ビジネスの展開を目指している。

マイクロモビリティの自動運転化のニーズは高まっているが、一定エリア内により多くの車両・ロボットが混在するほど、より高性能な車載センサユニット・計算ユニットが個々に必要になり、単体の車両・ロボットがとても高額になってしまう。

そこで、現実世界から収集したさまざまなデジタルデータを分析し、仮想空間を再現するデジタルツイン技術を使い、課題を解決する。

仮想空間上で、現実に近い物理的なシミュレーションが可能となり、モビリティが自動運転に必要な自己位置情報や経路情報などを生成し、提供することができる。また、死角などに起因するリスクの予測を行い、多数同時自律移動の安全性を飛躍的に向上させる。これが実現することで、車載センサユニット・計算ユニットの要求性能が下がり、車両単価を下げ、自律マイクロモビリティの普及促進に繋げる。