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GEAR5.0農林水産分野フォーラムを開催(鳥羽商船高専)

函館高専(北海道)、一関高専(岩手県)、和歌山高専(和歌山県)、阿南高専(徳島県)の4高専生とともに、①ウニの陸上養殖、②ご当地の発酵飲料・食品の開発、③海洋DX(※1)-の三つのテーマで地域の課題解決につながるビジネスプランの立案・発表を行う「農林水産分野フォーラム in 鳥羽」が、このほど4日間にわたり鳥羽商船高専で開催された。

ビジネスプランを発表する参加学生

◆概要

このイベントは、わが国の政府が政策に掲げる未来社会「Society5.0(※2)」の実現を支える人材育成プログラム「GEAR 5.0」(※3)の一環として開催。鳥羽商船高専は、GEAR 5.0が対象とする五つの分野のうち、「農林水産」分野での拠点校に位置付けられている。
現在、わが国の農業・漁業は少子高齢化の影響もあり、人材不足の問題に直面している。さらに、気候変動の影響もあり、農林水産業を取り巻く環境は絶えず変化しており、経験則や勘ではなく、データを基にした生産環境を整える必要性が高まっている。

こうした状況を踏まて、GEAR5.0では、農作物・水産物を〝とる〟から〝つくる〟環境をDX化させ、人材不足の解消を目指している。
フォーラムには、5高専から27人が参加し、プロジェクトで取り組む研究を社会実装するにあたり、ビジネスプランを検討し、商売として成立するかを検討した。
フォーラムでは、初日にフォーラムの概要説明を行い、2日目以降、①ウニ、②発酵食品、③海洋DX-の三つのテーマで6チームに分かれ、チームごとにビジネスプランの立案を行った。期間中には、各テーマに沿った現場見学や体験ツアーとして、三重水産研究所の見学や地元の海女や漁師との懇談会、定置網体験などを実施した。
最終日の14日にはそれぞれのチームによるビジネスプランの発表会を実施。定置網の漁獲予測を行い漁業者が閲覧するアプリ開発や、発酵食品の販売を目指してパンを作っているグループからは未利用魚をフィッシュバーガーにして学校給食として提供する「地パン地消」、磯焼けの原因となっているムラサキウニを畜養し、高級食材として提供するアイデアが披露された。
また、山本さちこ参議院議員がフォーラムを見学し、学生たちに激励のメッセージが送られた。

定置網漁師との懇談会
激励のメッセージをおくる山本参院議員

今後の展望

今回のフォーラムで学生たちが立案したビジネスプランをベースに、ウニ陸上養殖、発酵食品開発、海洋DXの研究成果の社会実装への展開を目指す。

        ◇            ◇

(※1)海洋DX:デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させることであり、海洋DXとは、先端技術を活用し、水産業をDX化させること。

(※2)Society5.0:サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会。

(※3)GEAR 5.0:地域密着型・課題解決型・社会実装型などといった高専の従来型の特徴を生かしつつ、産学官の連携体制という全国規模の面(基盤、ネットワーク)を作ることで、全国にある51校の国立高専の資源を駆使した新たな人材育成モデルの構築を図る、教育研究プロジェクト。
1つの分野だけでは解決できない社会の大きな課題に対して、様々な専門的知見を活かした研究活動を行い、成果を出すという実践的な取組となっている。GEAR 5.0では、「マテリアル」、「介護・医工」、「防災・減災」、「農林水産」、「エネルギー・環境」の5つの分野で構成されている