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東海国大機構「低温プラズマ総合科学研究拠点」が始動-名大、岐大の強みを活かした低温プラズマ科学の研究推進と革新的イノベーション創出へ

岐阜大学、名古屋大学を運営する国立大学法人 東海国立大学機構は、新たな直轄事業として「低温プラズマ総合科学研究拠点」を今年4月に創設し、研究活動をスタートした。「低温プラズマ総合科学研究拠点」は岐阜大工学部附属プラズマ応用研究センターと名古屋大低温プラズマ科学研究センターを統合。低温プラズマ科学を中心に据える多様な学問領域の境界を越える学際融合領域研究を行い、持続可能な開発目標(SDGs)やSociety5.0の実現に向けて、低温プラズマ科学の新価値創成を進める拠点を目指す。「低温プラズマ総合科学研究拠点」の創設を記念して、6月20日午後1時から記念式典とパネルディスカッションが開催される。

□〝物質第四の状態〟プラズマ

プラズマは、固体、液体、気体と並ぶ、〝物質の第四の状態〟といわれ、イオンと電子が混在している状態を指し、雷やオーロラなどがその例。プラズマは真空や高温など特殊な条件での発生だけでなく、ここ数年、室温かつ大気中の標準状態で安定的にプラズマを発生できる技術が開発されている。

従来のプラズマに比べ、手に触れるほどの低温で生成されることから低温プラズマと呼び、物質に照射することでさまざまな効果を与える性質を持ち、有機物を分解して洗浄・殺菌するとともに、熱に弱い材料を使うあらゆるモノづくりに活用。さらに、機能性の材料を取り扱う半導体製造の80%以上の工程に利用するなど幅広い分野で産業応用が進み、近年注目を集めている。

「低温プラズマ総合科学研究拠点」は、機械工学・化学工学分野でのプラズマ応用研究やプラズマ研究の地域展開を強みとする岐阜大工学部附属プラズマ応用研究センターと、半世紀に及ぶ世界トップクラスのプラズマ研究や多様な学問領域との融合を強みとする名大低温プラズマ科学研究センターとを統合して設置された。

低温プラズマ科学に関する多様な共同利用・共同研究を、国内外の研究者とともに、岐大・名大の強みを相乗的に活かして推進することで、以下の研究に取り組むこととしている。

◎先進プラズマ計測に基づく高度シミュレーション技術を駆使した基礎学理の探求

◎半導体デバイスプロセス、機械材料・トライボロジーなどのモノづくりへの応用

◎カーボンニュートラルな化学・エネルギーやエアロスペースなどのグリーン技術の創出

◎プラズマ基盤から創出される革新的な医療や創薬、農業、水産業など、様々な分野への利用