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統数研×MKI ブラックボックス最適化に関する共同研究を開始

統計数理研究所と三井情報㈱は16日、機械学習手法「ブラックボックス最適化」の停止基準アルゴリズムを産業応用するための共同研究を開始した。統計数理研究所の日野英逸教授らが開発した停止基準は様々な分野で応用が可能な技術だが、三井情報が開発しているマテリアルズ・インフォマティクス(MI)向けソリューションに組み込み、より効率的な物質探索を目指して実証研究を行う。

材料開発の現場では、素材や温度などの合成条件の組み合わせによって新規機能性材料を探索しているため、それらの膨大な組み合わせから効率的に探索する方法論の確立がMIの大きなターゲットの1つで、近年では機械学習手法「ベイズ最適化」が広く用いられるようになってきている。

ベイズ最適化は背景のモデルを仮定しないため非常に汎用的な手法だが、全ての条件を探索しない限りは最良の条件を知り得ないという普遍的原理から逃れることはできず、材料開発者が探索実験を打ち切るタイミングをなんらかの判断基準で決定しなければならないという課題があった。

その最良のタイミングを統計的に評価する方法が日野教授らによる停止基準であり、材料開発者の恣意的な判断によらず、ほぼ自動的に打ち切りのタイミングを判定することができる。両者は「停止基準の導入によって生産性の向上、材料開発の自動化も実現できる可能性がある」としている。