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慶應大イノベ推進本部がアマゾンと協定 大学発SU創出と成長を加速

慶應義塾大学イノベーション推進本部は9月27日、世界で包括的かつ幅広く採用されているクラウドコンピューティングを提供するアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(AWSジャパン)と、大学発のスタートアップの創出と成長を加速するための連携協定を締結した。協定締結に伴い、AWSジャパンは慶應大と連携し、慶應大関連スタートアップへの計算リソースの提供や、慶應大へのスタートアップや起業家が必要とする技術・人材支援や情報提供などを行う。両者は、協働して大学発スタートアップの創出支援・育成を行い、大学発スタートアップによる教育・研究成果の社会実装を推進することで、全社会の課題解決を目指す。

■起業目指す研究者を多角的にサポート

慶應大は、大学の産学連携機能を担うイノベ推進本部内のスタートアップ部門を昨年3月に本格始動させ、大学発スタートアップの創出・成長を通じた研究・教育成果の社会実装を推進している。

同年12月には、慶應大関連スタートアップ制度や慶應版客員起業家(EIR)制度を導入し、複数のパートナー企業との連携協定の締結を発表している。また、今年5月に発表された「令和4年度大学発ベンチャー実態等調査」(経済産業省)での大学別企業数では全国3位に輝いている。その一方で、起業家やスタートアップは引き続き多様な支援を必要としており、近年重要性が高まっている人工知能・機械学習(AI/ML)などコンピューティングに関する支援もその一つ。

AWSは、世界で幅広く採用されている包括的なクラウドコンピューティングを提供しており、スタートアップ支援にも積極的に取り組んでいる。AWSジャパンは、スタートアップ支援に関して、新潟県、つくば市や浜松市、北九州市など地方自治体との連携協定をこれまでに発表しており、また研究開発型スタートアップなどを多く輩出または有する大学などの高等教育機関との連携についても可能性を模索してきた。

このような背景から、慶應大イノベ推進本部とAWSジャパンは、コンピューティングに関するスタートアップの課題を解決し、起業やその後の成長を加速するための連携協定を締結した。この連携は、慶應大関連スタートアップ(https://innov.keio.ac.jp/startup/support/startupsystem/)や起業を目指す研究者に対する多角的な支援体制の構築を特徴としており、具体的には、主にAWSジャパンからの以下の四つの支援から成り立っている。

1.計算リソース提供: AWS Activateプログラムを活用し、慶應義塾大学関連スタートアップに対して、最大5000㌦分のAWS利用バウチャーや他のSaaSのディスカウントを提供する

2.技術・人材支援: AWSエンジニアによる個別の技術相談会を開催し、CTO人材への学習やネットワーキングの機会を提供。オンサイトのワークショップも含まれる

3.情報提供: セキュリティ対策、データ保護法規、IT運用コスト最適化、AI/MLの最新サービスなどに関する情報発信を行います。これらはセミナーや勉強会の形で実施

4.起業文化醸成: セミナーやイベントを通じて起業文化を醸成する。具体的には、AWSジャパンが企画するアントレプレナーシップ教育関連イベントへの紹介や、補助金や事業化支援の制度活用に関する情報提供を行う