パンダメリタヨコエビを探す富川光教授(本人提供)
体長は5~8ミリで白黒のパンダ模様な特徴的カラーリング―。2024年9月、広島大学の富川光(とみかわ・こう)教授が新種のヨコエビ「パンダメリタヨコエビ」を発表した。パンダメリタヨコエビで新種の報告は67種目。新しい生物の発見を続ける富川さんを直撃した。
■魔のグループ、「ヨコエビ」
「ヨコエビは魔のグループだ」-。大きさは数ミリ程度。体の特徴を見分けることが難しいことから、昔は研究者から敬遠されていたという。ヨコエビ研究を始めた学者たちも就職できずに、研究を諦めていってしまう状況が続いていたそうだ。
「サンショウウオや魚を研究してみたい」。学生時代、さまざまな関心があった富川さんは何の研究を専門にすべきかを多くの教授に相談した中で、ライバルの少ないヨコエビにすることにしたと語る。「積極的な理由でないかもしれないけれども」と笑いながら教えてくれた。
自分のペースで研究できそうな点や未発見の種類も多くて、研究の余地があるところが魅力的に感じたのだそうだ。
■ヒマラヤ山脈、50度超の温泉にも存在
富川さんによると、ヨコエビは水深1万メートルの海溝やヒマラヤ山脈などどのような地域にも存在しているという。例えば富川さんのグループは、ペルーの温泉からヨコエビ「ヒアレラ・ヤシュマラ」を発見した。ヤシュマラは50度超の温泉でも元気に泳ぎ回っていたと話す。

パンダメリタヨコエビの発見では、メリタヨコエビ63種と比較することに苦労したと語る。数ミリサイズのヨコエビの脚や触角を顕微鏡や針を使って比較していく。想像するだけでも集中力のいる大変な作業だ。全てを通して6年程度かかったそうだ。
透明なヨコエビが多い中でなぜ、パンダメリタヨコエビはパンダ柄(がら)なのか。富川さんはパンダメリタヨコエビの白黒模様を保護色と推察する。「今後はこのアンダー柄の謎に捕食実験などを通して迫りたい」と力を込めた。

パンダメリタヨコエビ
■新種発見の意義
今回の発見の意義を尋ねると、「磯遊びでよく行ける場所から新種が見つかったことは意義がある」と話す。「深海や高山で新たな生き物が見つかることは、ある意味当たり前」と述べ、「日本には、まだまだ新種が沿岸域にいると分かっている」と語った。
日本列島は生物多様性が非常に高いと指摘し、それらに名前をつけることで、科学の土台へ乗せることができると説明した。「これからも未公表の種の研究を進めてどんどん公表していきたい」と意欲を示している。