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プラズマ物理の進歩に貢献 核融合研特任教授にチャンドラセカール賞の受賞が決定

核融合科学研究所の居田克巳特任教授が、プラズマ物理の顕著な進歩に貢献した研究者に贈られる「チャンドラセカール賞」を受賞することが決定した。居田特任教授の受賞は、磁場で閉じ込めた高温プラズマ中の様々な乱流状態の実験的発見に対する先駆的な貢献が評価されたという。

この賞は、アジア太平洋物理学会連合プラズマ物理分科会 (AAPPS-DPP)が2014年に創設したもの。ノーベル物理学賞を受賞しプラズマ物理にも貢献した、インド生まれのアメリカ天体物理学者である故スブラマニアン・チャンドラセカール氏の名を冠している。

今回の受賞は、磁場で閉じ込めたプラズマ中のさまざまな乱流状態の実験的発見に対する先駆的な貢献に与えられた。

かつて居田特任教授らは、乱流の性質を明らかにするため、プラズマの温度勾配が強くなった部分に注目。プラズマの流れを詳細に計測した。そこでは、自発的に発生した一方向の流れ(トロイダル流とポロイダル流)が観測され、その流れには空間的に強弱があることを発見した。この強弱のある流れは「シアー流」と呼ばれている。

シアー流は外部から与えたものでなく、プラズマ自身が作り出したものであること、乱流を弱めて温度勾配を強くする働きがあることを1990年に発見した。また、乱流の非局所性がこの状態間の遷移を引き起こしている原因であることも明らかにしている。

居田特任教授は「磁場閉じ込めプラズマの乱流輸送における多くの本質的プロセスの発見は、現代物理学としてのプラズマ物理学の価値を高め、核融合発電の実現に大きく貢献すると期待しています」と述べている。

授賞式と受賞講演は、11月12日-17日にポートメッセ名古屋で開催される第7回アジア太平洋プラズマ物理学国際会議で行われる。