中部大学は21日、山本尚卓越教授らが開発した安価なペプチド化合物の合成技術を事業とするスタートアップ企業「株式会社ペップイノーバ」を、中部大発ベンチャーの第1号に認定したと発表した。安価な中分子医薬品の社会実装を目指したい考えだ。
現在、薬剤の主流は分子量の小さい「小分子」や、逆に分子量が大きい「高分子」の抗体。小分子は患部以外の組織にも働くためしばしば副作用を引き起こす。一方、高分子は注射や点滴で投与する必要があり、寸法が大きいため欲しい部位には到達しない。
同大が開発を進めているペプチドは、小分子と高分子の中間の大きさで「中分子」と呼ばれる。病気の治療に程よいが、生産コストが高くい高額医薬品となり現実的ではない。そこで、山本卓越教授らは、従来の方法とは全く異なる液相型ペプチド合成法を開発した。生産コストや期間を10分の1以下にできる見通し。
同社の事業の柱は①試薬事業、②研究委託事業、③製造受託事業、④知的財産ライセンス事業‐の四つ。「中部大学の支援を受け、国内の製薬会社などと協力することで、これまでは手が出ないほど高価だった中分子医薬品が病院の保険診療に適用されたり、一般の消費者でも薬店で購入できたりするようにし、世界での市場の拡大を目指す」としている。