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ホンモロコの産卵地 統計で初解析 近大など

ホンモロコ(提供:亀甲武志准教授)

近畿大学と滋賀県庁、京都大学の研究グループは17日、絶滅危惧種である「ホンモロコ」の産卵場所を統計解析により初めて科学的に解明した。同日付の国際誌「フィッシャリーズ・サイエンス」の電子版に掲載されている。

ホンモロコは琵琶湖固有の高級魚。過去に放流が行われた山中湖などにも生息する。大きさは10センチ程度のコイの仲間で県の統計によれば、平成元年に200トン以上の漁獲量があったが、令和元年には50トン以下まで減っている。

原因には産卵繁殖場所の減少や水位操作などが影響しているとされる。グループは琵琶湖沿岸の344カ所に調査区画を設置してホンモロコの産卵場所の選択性を検証した。

設置区画で調査を行う研究グループ

その結果、ヤナギの根が生い茂り、水深が浅く、流れが速い場所で産卵されやすいと認められたという。根があっても水流が遅い地点では見つけられず、それぞれの条件がそろった場で卵が産み付けられているようだ。

浅瀬で確認されたホンモロコの卵

近大の亀甲武志准教授は外来魚の駆除や種苗放流、水草の除去によりホンモロコの数は回復傾向にあると紹介。「人々にホンモロコをよく知ってもらい、食などを通してその価値を高めることで増加につなげられる」とコメントしている。