近畿大学
近畿大学とりら創造芸術学園(和歌山県)は今年11月、高野山(同県)で推定樹齢400年の県天然記念物「ヒダリマキガヤ」が増殖された痕跡を発見したと発表した。接ぎ木技術が利用された樹木では同県最古と推測される。
カヤの痕跡は縄文の遺跡からも発見されている。現在でも樹齢800年を超える古木が残っており、解析を行うことでかつて林業を営んだ人たちの生活の一端を明らかにできるという。
研究グループは根元が共通でありながら、部分的に異なる幹からDNAサンプルを採取して遺伝的違いを検証した。その結果、複数の植物をつなげる「接ぎ木」技術が使われていたと発見している。高野山地域のカヤは人の手で管理されていたと考えられ、交流圏の範囲や密度を考える上で重要な情報になるという。
近畿大の堀端章(ほりばた・あきら)教授は「総合⼤学である近畿⼤学のメリットを⽣かして、産業を介した⼈と作物との関係を明らかにしていきたい」とコメント。「遺伝構造の解析を進めることで、カヤに関わる⼈や地域のつながりを明らかにすることができる」としている。
■増殖
有性生殖と無性生殖がある。無性生殖である接ぎ木技術は異なる植物を一体化させる技術。耐寒性や耐病性の向上、果実の品質向上などに利用される。