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順天堂医院が肥満症外科手術(減量・代謝改善手術)実施施設に認定~ロボット支援下手術や先進医療、海外の患者を多く受け入れへ~

順天堂大学大学院医学研究科上部消化管外科学の福永哲教授、代謝内分泌内科学の綿田裕孝教授が2020年に開始した肥満症外科手術治療について、日本肥満症治療学会の定める肥満症外科手術件数、日本肥満症治療学会での発表数、論文発表数、病院の施設内容・治療体制などを満たし、順天堂大医学部附属順天堂医院が今年4月1日付で、「肥満症外科手術(減量・代謝改善手術)実施施設」に認定された。

順天堂医院では、糖尿病治療の第一人者と低侵襲胃外科の権威がタッグを組んで治療を行っており、肥満関連症(糖尿病等)の紹介患者が年々増加し、手術件数も増加している。

さらに、先進医療(スリーブバイパス術)の導入を開始し、ロボット支援下による肥満症外科手術等も積極的に行っている。

今回の肥満症外科手術(減量・代謝改善手術)実施施設の認定により、内科的治療で難渋している肥満関連症(糖尿病等)の治療の更なる促進を図る方針だ。

■国内の高度肥満症に対する減量手術は増加傾向

治療に難渋する高度肥満症に対する外科手術(減量手術)は有効な治療手段とされている。順天堂医院(順天堂大学大学院医学研究科 上部消化管外科学)の綿田教授と福永教授は2021年6月、高度肥満症などに対する減量・代謝改善を目的とした保険診療による外科手術を開始したことを発表した。

高度肥満症に対しては、外科手術が内科療法と比較して長期的に減量を維持し、肥満関連の健康障害を改善することが海外で証明されており、日本国内でも同等の成績が報告されている。

また、高度肥満症では、食事療法、運動療法、認知行動療法、薬物療法を含む内科療法に加えて、外科療法が治療選択肢として国内外で推奨されている。

日本国内では、2014年に保険収載された腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の適応は、6カ月以上の内科治療によっても十分な効果が得られないBMI35以上で、糖尿病、高血圧、脂質異常症、または閉鎖性睡眠時無呼吸症候群のうち一つ以上を合併した高度肥満症。

その後BMIの範囲は拡大され、昨年4月の診療報酬改定により、BMI32.0~34.9で特定の条件下に合致する場合の適用が追加された。

日本国内での高度肥満症に対する減量手術は近年増加傾向にあり、日本肥満治療学会アンケートによると、2020年度には748件の腹腔鏡下肥満外科手術が行われているという。

順天堂医院では、2019年に「減量・糖尿病外科治療チーム」(2021年4月に「減量・代謝改善手術治療チーム」に名称変更)を結成し、高難度新規医療技術申請を行い、2020年2月に1例目の治療を開始。同年末までに保険適応に必要な5例の手術治療を行い、2021年からは保険診療による治療が可能となった。