早稲田大学法学部は、MS&ADインシュアランス グループのあいおいニッセイ同和損害保険㈱と、メタバースにおける法的課題の整理や規制・ルール作りを考察する授業を展開し、仮想空間に理解のある法的素養を備えた人材を育成することを目的とした寄附講座『メタバースと法』を秋学期(10月6日~)に開講する。
ここ数年、インターネット上に作られた仮想空間であるメタバース空間は、エンターテイメント、ショッピング、ゲーム、教育や医療などさまざまな分野への活用が期待されている。また、ユーザーが自身の分身であるアバターに着せる服や靴、帽子などを、偽装不可能なNFT(Non Fungible Token、非代替性トークン)アイテムとして購入する取引が活発に行われている。
このようにメタバース空間でも、現実空間と同じような経済活動が行われており、メタバース市場は年々拡大していくと予測されている。
一方、現状はアバターの法的地位の課題やアバター間での模倣品販売・迷惑行為・ハラスメントをはじめ、多数の法的課題が存在しており、誰もがより安全・安心にメタバースを利用できる法的仕組みを整える必要がある。
そこで、あいおいニッセイ同和損保は、メタバース空間を運営・管理する事業者やメタバース上でサービスを提供する事業者を対象とする国内初の「メタバース専用パッケージ保険」を販売するなど、安全・安心なメタバースの発展に資する商品・サービスの検討を進めてきた。
また、早稲田大法学部は、先端科学技術を社会に実装化する際に生じ得る倫理的・法的・社会的な課題(ELSI:Ethical,Legal and Social Issues)に対しリーガル・マインドをもって取り組むリーダーを育成することを目的に、2022年度に「先端科学技術と法コース」を新設した。さらに、早稲田大学内に、先端科学技術に係る法的課題について研究する「先端技術の法・倫理研究所」を設置し、「メタバースと法」研究会を同研究所内に設けている。
このような背景から、あいおいニッセイ同和損保と早稲田大法学部は、双方の知見をもとにメタバースにおける法的課題を整理し、法規制やルール作りおよびメタバース空間を理解した上でELSIに対処できる法的素養を備えた人材を育成することを目的に、今年度秋学期に寄附講座「メタバースと法」を開講する。