日立の原子分解能・ホログラフィー電子顕微鏡
九州大学と理化学研究所、日立製作所らは、観察が困難であった磁性多層膜など構造が不均一な試料の磁場の観察を可能とする手法を開発して世界で初めて格子面の磁場観察をした。英学術誌「ネイチャー」のオンライン版に4日付で掲載されている。
日立製作所は2017年に理研と共同で、原子数層の磁場観察を可能にする1ナノメートル以下の分解能を達成した。だが、さらなる高分解能化には、顕微鏡の精度向上と撮像時に生じる微小なピントずれの補正が課題であった。
原子力分解能・ホログラフィー電子顕微鏡に、新たに開発した「電子線ホログラフィーの精度向上を実現する大量画像自動取得技術」と「微小なピントずれを自動補正するデジタル収差補正技術」の2つの特徴をもつ技術を適用して、0.47ナノメートルの物質内部の格子面の磁場を観察することに成功している。
研究グループは「この成果はデバイスや物質中の界面構造と磁場の関係を詳細に観察できるようにし、カーボンニュートラル社会の実現に向けて省エネデバイス開発を加速させる」とコメントしている。