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農工大科学博物館で26日から企画展 『岩石標本展―近代地質学黎明期の標本たち-』

東京農工大学科学博物館では、企画展「岩石標本展―近代地質学黎明期の標本たち-」を8月26日㈯から9月30日㈯まで開催し、農学部生物生産学科土壌学研究室が所有する『黒部隆名誉教授岩石鉱物標本コレクション』を初公開する。

同コレクションは、明治から平成にかけて教育用に集められてきた多くの岩石標本から構成。なかでも、明治から大正にかけて東京帝国大学元教授の脇水鐵五郎が集めた標本群は、地質学的にも歴史学的にも重要な標本を多く含んでいる。

これらの岩石標本は、明治時代に欧米の外国人研究者によってもたらされ、彼らの教育を受けた日本人研究者が発展させてきた近代地質学の黎明期の様子を克明に物語る。企画展では、このコレクションを中心に、近代地質学が〝日本で如何に始まり、歩み始めたか〟という観点で展示する。

日本では、明治期に急速に全国的な地質学的調査が進んだ。この調査の主目的は資源探索にあったが、同時に国内に眠っていた様々な興味深い地質学的記録や現象の発見につながった。

これらの発見や研究は、日本列島はどのように形成されたかという議論へと発展し、今なお多くの研究者たちの興味を惹きつけてやまない。企画展では東京大学総合研究博物館と福井県大野市教育委員会の協力のもと、日本国内で産出する貴重な岩石、鉱物、化石標本を通して、日本列島の形成史についても紹介する。

また、特別展示として、岐阜県高山市荘川町から産出した貴重な獣脚類恐竜の歯化石を公開する。この標本は今回を含めて二度しか展示されたことがなく、研究の真っ最中の標本。

さらに、同コレクションを題材に、今年度の学芸員実習生によるサイエンスコミュニケーション企画「農工大生と見る岩石標本の世界―岩石は地球のタイムマシン-」を予定している。学生の視点から岩石・化石・鉱物を楽しむ展示・イベント企画を実施する。