鹿児島県大隅半島の大中原遺跡から検出された鬼界アカホヤ噴火の火山灰層=2022年7月、内山純蔵撮影
金沢大学の内山純蔵客員教授と九州大学の桒畑光博研究者、南種小町教育委員会の小脇有希乃氏、弘前大学の上条信彦教授らの研究グループは、世界の優秀な考古学論文に贈られる「ベン・カーレン賞」を日本人で初めて受賞した。英考古学専門誌「アンティクィティ」で11日に発表されている。
受賞論文は7300年前に起きた地球史上最大の噴火「鬼界アカホヤ噴火」の影響を探る国際共同研究の成果として噴火発生地に近く、200カ所以上もの縄文遺跡がある種子島に焦点を当てた。これまで明確でなかった噴火の影響を分析、最新の土器脂質分析や同位体分析という多方面の手法を統合することで明らかにしたものだ。
その結果、噴火点に近く火砕流を受けた種子島は、噴火後約200年は無人の火山灰原となったこと、島に人が戻って再居住が始まったが、異なる生活様式が採用されたこと、噴火による影響が2000年続いたことが判明している。
金沢大学の内山客員教授は今後について「日本の縄文時代を中心に、過去の災害と人間社会との関係を明らかにしていきたい」と力を込めている。