大学改革支援・学位授与機構は2月7日に、大学・高専機能強化支援事業令和5年度機能強化会議を開催した。同会議は、大学・高専機能強化支援事業の学部再編等による特定成長分野への転換等に係る支援、いわゆる「支援1」に選定された大学による意見交換や情報交換の機会を設け、当該大学の相互の連携等の促進を図ることを目的とし、毎年度、原則1回の開催を予定しているもの。
同事業を開始して初の開催となった今回は、本事業の高度情報専門人材の確保に向けた機能強化に係る支援、いわゆる「支援2」に選定された大学・高専や、日本学術振興会で実施している地域中核・特色ある研究大学強化促進事業に選定された大学にも参加を呼びかけ、登壇者及び参加者全員が学術総合センターに参集し、対面で実施した。
「支援1」に選定された67大学から163名、「支援2」及び「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」に選定された11大学から16名が参加した。
はじめに福田秀樹機構長の開会挨拶とともに、安浦寛人大学・高専機能強化支援事業選定委員会委員長が挨拶。安浦委員長からは、同事業の目的や背景、初年度の選定状況に関する説明後、社会のデジタル化がすべての産業分野で重要視されるなか、大学でもデジタル教育の充実が求められる点が指摘された。また、「将来的な初等中等教育への展開も視野に入れた幅広い人材育成の仕組みの構築に向け、今後の事業を進めてもらいたい」との期待が述べられた。
プログラム前半には、文科省高等教育局専門教育課長の梅原弘史氏から理系人材育成等に関する高等教育政策の動向や博士人材養成・研究力強化のための施策について、文科省初等中等教育局参事官(高等学校担当)の田中義恭氏から令和5年度補正予算事業である高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール事業)における高大連携について講演が行われた。
続いて、日本電気㈱AI・アナリティクス統括部シニアディレクターの孝忠大輔氏から産業界で求められるDX推進人材について、一般社団法人日本経済団体連合会常務理事の長谷川知子氏から産業界で求められる人材と今後の高等教育に期待することについて講演が実施された。
プログラム後半には、新たな時代のニーズに応じた学部学科の開設や女子学生増を含めた近年の大学改革の取り組みに関する事例発表を実施。京都橘大学副学長の阪本崇氏からは工学部(情報工学科)設置の背景や設置準備、横浜市立大学データサイエンス学部長の山崎眞見氏からはデータサイエンス学部の設置構想検討から卒業⽣輩出まで、芝浦工業大学システム理工学部長の澤田英行氏からはシステム理工学部における学科制から課程制への移行や女子学生増の取組について、それぞれ発表された。
事例発表を行った大学ごとに三つの会場に分かれて行われたラウンドテーブルでは、事例発表に関するより詳細な説明が各大学から行われ、参加者から寄せられた質問への回答を交えながら活発に意見が交わされた。最後に、大学・高専機能強化支援事業選定委員会委員から総括コメントが述べられた。
当日の各登壇者の発表資料及び音声付きスライド動画は、機構のウェブサイトに掲載している。