岡山大学の宮地まり助教らの研究グループは、目の病気である斜視の候補遺伝子「MGST2」の機能をなくしたマウス系統を樹立した。そのマウスでは眼球が上下左右に有意差をもって大きくなっていたことが画像解析で明らかになっている。宮地助教らは「斜視の原因を考える手がかりが得られた」としている。
岡山大はMGST2ノックアウトマウスの系統を維持し、生まれてきたマウスの遺伝型を調べた。母父由来の両方のMGST2遺伝子が働かなくなっているホモ接合体のマウスとMGST2遺伝子が両方とも正常な野生型マウスの脳と眼球の画像を小動物用MRIで撮影して比較した。
その結果、ホモ接合体のマウスでは野生型マウスと比べて眼球が上下左右に拡大して、容積が大きくなっていることが判明した。このように眼球形状がわずかに変化していることが斜視の原因の1つと考えられている。形状の変化によって、眼球に付着している外眼筋の働きに変化が起こる可能性があるという。
研究グループは「この研究成果は斜視の原因を考える上でのヒントになり、今後の斜視の診断や治療の向上に貢献する」と説明している。