文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
重症の新型コロナ患者「過凝固状態の消失で治療経過が不良になる」名大などが発見 新たな治療戦略に開発に期待

名古屋大学と名古屋掖済会病院救命センターを中心とする研究チームは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化時において、血栓ができやすくなる過凝固状態の消失が治療経過の不良と関連することを明らかにした。新たな治療戦略の開発につながるかもしれない。

研究では2021年3月からの1年間にCOVID-19で入院した166人の患者を観察した。

その結果、血小板成分が過凝固状態に寄与することが分かり、重症例では過凝固の程度が高まった。だが、この状態が消失した群は、予後が不良であることが分かっている。これは、補体経路のうち特に代替経路に関与する「C3」の消費と関連しているという。

重症患者においては過凝固とは異なった特徴である血小板の減少やヘマトクリットの低下、血栓性微小血管障害などが難治化に関連していることが示された。これらの発見は、難治症例に対する病態解明及び効果的な治療開発につながる可能性がある。

研究グループは「研究により、凝固プロファイルを評価することで重症COVID-19の異なる治療経過を判断することが可能になると予想される」と説明。「異なる凝固プロファイルを示すCOVID-19に対して、たとえば補体代替経路をターゲットとした治療戦略の開発につながる」と期待を込めた。