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モリアオガエルはなぜ地表と木の2パターンの巣を作るのか? 名大教授らが産卵行動の理由を調査 理由は「温度調整」

名古屋大学の梶村恒教授らの研究グループは、日本の森林に生息する「モリアオガエル」の産卵行動を調査した。それによると、地面と樹上に巣を作るのは、温度調節のためであると考察されている。この知見は両生類における産卵行動の進化、さらには森林生物の温度環境への適応戦略を理解する上で重要となる。

モリアオガエルは、池の水面上の樹木の枝先や地上に泡状の巣を作り、その中に産卵する。だが、異なる産卵場所が卵にどのような影響を及ぼすのか。天敵に捕食されやすい地上になぜ卵を産むのかは分かっていなかった。

研究では樹上と地上における、泡巣内の温度環境に着目。周辺の空気の流れや泡巣の付く物が枝葉と土であれば環境は異なる。研究グループはこの違いは、温度調節に影響する可能性があると考えた。そこで、モリアオガエルの樹上と地上の泡巣それぞれに温度センサーを差し込み、周辺の気温と同時に測定した。

その結果、どちらの泡巣でも気温が高い時には、内部の温度が相対的に低くなった。つまり、泡巣には卵を高温から保護する働きがあることになる。一方、気温が低い時の泡巣の働きには差があった。樹上の泡巣では、内部温度が気温と同程度であったが、地上の泡巣の内部は周辺よりも温かくなっていた。

研究グループは「モリアオガエルの地上産卵に、寒冷な環境から卵を保護するというこれまで提唱されていなかった適応的意義があることが示唆された」と説明。「低温耐性を付与する地上産卵は、アオガエルの祖先が子孫を残す上で重要な役割を果たしていた」と推察している。