日本原子力研究開発機構(JAEA)ら4団体の研究グループは14日、氷点下の環境での燃料電池内部の凍結挙動を広い視野で観察するための大型環境模擬装置と水と氷を高精度で識別する技術を開発したと発表した。車載用燃料電池のさらなる性能向上に貢献する発展が期待されている。電池中の水が凍結していく過程を可視化したのは世界初だ。
研究グループは、これまでに発電中の車載燃料電池内部に生成する水を直接観察するための「広視野での水の観察技術」を開発していたが、この技術を発展させ「広視野での水/氷識別観察技術」の開発を進めていた。
氷点下でより効率的に燃料電池を始動するには、氷点下の環境での燃料電池中の凍結挙動を観察する必要がある。そのためには「実用サイズの燃料電池を広い視野で観察する技術」と「水と氷を区別する技術」の2つの新技術の開発が必要であった。
これら技術と装置を使って、車載用の燃料電池内部で水が凍結していく過程の挙動を観察することに成功している。
研究グループは今後について「現象に対する正しい理解に基づいた材料の選定や流路構造の設計とその検証など、燃料電池の研究開発を加速するさまざまな展開が期待される」とコメントしている。