アザラシのギザギザの葉にはどのような役割があるのか―。総合研究大学院大学の石原有乃大学院生らの研究グループは、アザラシの歯と動物プランクトン捕食の関連性を調べた。ギザギザ具合が高いほど、摂取量も多いことが分かっている。
研究ではバイカルアザラシとその近縁種を中心に、国立科学博物館が所蔵する13種のアザラシの骨格標本を用いて歯の形態を定量化した。動物プランクトンの捕食量との関係を調べている。
調査によると、13種の中では動物プランクトンの捕食割合は「カニクイアザラシ」「バイカルアザラシ」「タテゴトアザラシ」の順に多く、ギザギザは「カニクイアザラシ」が最も顕著。「ヒョウアザラシ」「バイカルアザラシ」と続いた。
こうした結果から、ギザギザ具合が高いほど、動物プランクトンの捕食率が高く、アザラシ科全体の傾向として見られた。アザラシのこうした歯は、はかりとしての役割を果たしていると分析している。
石原大学院生らは「今後は、このような歯の形態を持つことが口元の動きや体全体の動きにどのような影響を与えるのかを調査していきたい」とコメントしている。