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遺伝研が学術誌の言語障壁を調査 「言葉の壁を壊す取り組みが必要」 影響力が高いほど壁克服に冷淡

国立遺伝学研究所は、学術誌の言語に関する方針などを調べた。多くの誌面で言語障壁を克服する最小限の努力しかしていない状況が明らかになっている。言語障壁を破壊する取り組みが必要であると指摘している。

科学研究はさまざまな言語で行われている一方で、その研究の成果は主に英語の論文として学術誌に出版される。英語で論文を出す慣習は、さまざまな言語を使う人々の間で知識を伝える際の「言語障壁」を作り出す。知識を共有することは、人類社会が地球規模の課題に対処する上での大きな課題だ。

研究では豪クイーンズランド大学の研究者を中心とした国際的な研究体制で、生物学の736の学術誌の言語に関する慣習と方針を調べた。

その結果、ほとんどの学術誌が言語障壁を克服する最小限の努力しか行なっていない状況が判明。学術誌の影響力を測る「インパクトファクター」が高いほど言語の壁を克服することに熱心ではなかった。一方で、学会が発行する学術誌では言語障壁を克服することに一生懸命であった。

遺伝研は「学術論文の出版には、英語能力が限られている研究者やコミュニティを支援するための変化が必要であり、学会はこのような文化的転換をリードできる可能性がある」と主張している。

著者ガイドライン(円の上側)と編集長への調査(円の
下側)によって明らかになった言語についての学術誌の
方針と、それらと正の相関(上向き矢印)または負の相
関(下向き矢印)を示す要因